30周年記念誌(30th ANNIVERSARY)
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JCAA(日本建設あと施工アンカー協会)が30周年をお迎えになられたこと、心よりお慶び申し上げます。この間の皆様方の大きな社会貢献に深く感謝、敬意を表したいと考えている次第でございます。だいぶご無沙汰しておりますので、少し古い話をさせていただいて、御礼の言葉にしたいと思います。私が皆様方とご一緒するようになりましたのは、前身のNCAA、日本コンクリートアンカー工業協会、任意団体だった時代でございます。そろそろ40年経ちますが。私自身、あと施工アンカーと関わりを持ちましたのは、その少し前でございます。1968年の十勝沖地震ですね。鉄筋コンクリートの建物が壊れ、それを直すのに鉄筋をどうやって繋ごうか試行錯誤した際に、その一つに構造体にはあまり使われていなかったあと施工アンカーがありました。その頃、今のあと施工アンカーをどのように使っていたかと言いますと、各メーカーさんが作られた製品のカタログや仕様書を設計される方・使われる方が見て、値段も考えて選んで、施工は各会社、メーカーさんは施工マニュアルのようなのをお作りになったかと。これは性能設計で一切規制が無い理想的な世界です。ただ、現実は様々な具合が悪いことが起こりそうだということで、メーカーか建設業界どちらからともなく、基準や資格がいるんじゃないかという声が出ており、建築学会にご相談がございました。これは鉄とコンクリートの話なので、建築学会には鉄の関係の委員会とコンクリート委員会はあるんですが、それを繋ぐっていうのはその頃はありませんでした。合成梁の委員会があり、加藤勉先生がおやりになっておりました。たまたま私はコンクリートの構造側から、アンカーボルト(スタッドボルトでございますが)をやっていた関係もあり、結論的には、1984年に建築学会であと施工アンカーの設計施工指針の案ができ、1985年から正式に使われるようになりました。ただ、そう簡単なものでもなく、スタートからつまずきました。なぜかというと、建築学会では使う材料、製品は、JIS規格物が当たり前で、それ以外のものを扱っていかがなものかという議論がありました。色々議論しているうちに、業界・メーカーの方で団体を作っていただき、そこで製品の規格や試験方法を考えていただきました。それを受けて建築学会が設計指針・施工指針みたいなのを作成するということで、やっと話がまとまり、出来上がりました。そうして、JCAAの前身のNCAAの方々と大変いいお付き合いをさせていただけるようになりました。ヨーロッパのコンクリート学会でもそのようなことを行うグループがあり、私ども協会の何人かの方々と一緒にヨーロッパのその委員会に入っていろいろ議論いたしました。そうして私も深みに入ってまいりまして、今日お見えの松崎先生や坂本功先生、河村壮一先生らと一緒に「あと施工アンカー設計と施工」という単行本を出版いたしました。この本には裏話がございまして、売れるかどうか出版社も躊躇しておりまして、NCAAの方々にお願いして「各社何冊」と最初に約束していただきました。案の定、あんまり売れなかったように思います(笑)。ただ、あるとき電話がかかって、「本がなくなっちゃったんですけど、どうしてでしょうか?急に売れ出して、増刷した方がいいのでしょうか?」って。それが実は1995年の阪神淡路大震災のあとでした。それで増刷してもらいましたが、何年か経ってまた電安心・安全を30年~30周年記念誌~ |安心・安全を30年~30周年記念誌~ |1919東京大学名誉教授  岡 田 恒 男感謝状贈呈/受贈者挨拶

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