30周年記念誌(30th ANNIVERSARY)
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まだ現役でした頃に、お世話になった方々に先ほどロビーで久しぶりにお会いしました。このような会もあると、技術の普及というものは非常に重要だということを感じます。あと施工アンカーの技術というのはヨーロッパで盛んで、その技術を見たいと提案し、20人ぐらいの団体で視察にうかがいました。2回行きまして、我々からは技術を発信しつつ、我が国は地震もあり技術に非常に関心を持っているということを伝えてまいりました。そうして、環境問題や建物の増築、老朽化に対して、互いに確認し合いながらやっていけたらという話になりました。その後、阪神淡路大震災が起こる前に、見直さないといけないことがあるということで、20人ほど集まり委員会を作ったところ、数ヶ月後に地震が起きました。耐震補強が進むにつれ、あと施工アンカーでという話もあって、指針を作ることが現実のものになり、私は若く働き盛りの年齢のときでしたので、面白く楽しくやってまいりました。以降の活動で言いますと、広い範囲であと施工アンカーが広がっておるということについては確かですが、アンカーの径・長さ、複数の壊れ方の部位、中々難しい問題があると思います。地震で大きい被害が出る地域もあり、これまでの技術をきちんと学習することについては当然ですが、これは一つの基準です。アメリカのエンジニアは部位が出っ張っているところも施工しますが、ヨーロッパの方は確実な部位からやります。4年前に久しぶりにヨーロッパの会社に行きました。我が国でこういう技術を普及するにあたり、あと施工アンカーを使うとよさそうだという話が出ます。どうして広めていくかなどの苦労するという話をすると、手本にしたヨーロッパの会社は非常にはっきりしておりました。単に技術で解決するだけでなく、社会の仕組みから変えなきゃいけない、とも感じます。もう一つ話をいたしますと、「どうも何かこう大きい地震が来そうだよな」なんていう、お酒を飲みながら喋るようなことですが、話した直後に阪神淡路大震災がありました。ご存知のようにピアはずっとありましたよね。どう補強するか考えるのは大変なことで、先生方が十数人くらい集まって、どうなのかって数か月やりとりしていた直後に今度は、高速道路のピアが、わーっと壊れました。こういった重要な基準のことをやっていると10年来の中に「あれやっておけばよかった」ということが、多々出てくる可能性もあります。基準ができる前からのヨーロッパにおける技術、アメリカから来ている技術、日本で普通に使っている技術からもう一歩進んで、ただトレースするのではなくステップアップしていただければと思っております。これまでのアンカーは重要な役割を果たしていることは事実です。何か足りていないところがあるのかもしれないということを、ぜひこういう機会に、研究している若い方々には特に考えてみていただければありがたいことじゃないかとお願いしたいということで、これで挨拶に代えさせていただきます。今日はおめでとうございます。22| 安心・安全を30年~30周年記念誌~22| 安心・安全を30年~30周年記念誌~東京理科大学名誉教授  松 崎 育 弘感謝状贈呈/受贈者挨拶

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