30周年記念誌(30th ANNIVERSARY)
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皆さんこんにちは。建築研究所の福山と申します。技術講演会の開会にあたりまして一言ご挨拶を申し上げます。一般社団法人日本建設あと施工アンカー協会様が、設立30周年の節目の年を迎えられましたこと、そして本日技術講演会が開催されますことに心よりお祝いを申し上げます。さて、あと施工アンカーとは、部材や設備を取り付け接合するためのもので、接合はもの作りにおいて欠かすことができない大切な技術です。歴史的にも、例えば金属を接合する方法の鍛接は、金属の表面を密着させ、熱を加え、圧力をかけて接合する方法ですが、それの方法は、紀元前3000年には既に存在したそうです。例えば、古代エジプトのツタンカーメンの黄金の棺は紀元前1400年頃に造られたそうなんですが、そこからは明らかに鍛接をしたと見られる鉄製の装飾品が発見されているそうです。また日本の奈良の大仏は1300年ほど前のものですが、ブロック単位で鋳造し、それをロウ付けのような方法で組み立てているようです。多様な場面で使われてきた接合の品質は、職人の技量に依存しますが、品質管理が昔から徹底されていたということが大切なことだと思います。話をあと施工アンカーに戻しますと、品質管理について貴協会では、資格認定事業にて、あと施工アンカー施工士、技術管理士などの資格制度を構築・運用していただいています。製品につきましても、十分な品質を有していることを第三者として評価する製品認証事業が行われています。これらにより、私たちは安心して認証された製品を使うことができるという仕組みになっています。さらに、調査研究事業として地震被害の調査報告や施工指針案の策定なども行われてきました。これらのことが総合されていることで、良質かつ安全なあと施工アンカー技術が社会に実装されていると承知しています。これに加え、本日の技術講演会の開催は、技術資産の構築や情報の発信、また次世代研究者の発掘といった大きな意義を持つ取り組みだと思います。まさにここにある「設立30周年。そして未来へ!更なる安全・品質・信頼の構築」というスローガンを体現するものだと期待をしています。建築分野におきましては、去年の3月31日に告示が改正され、既存の躯体と耐震補強をするための部材の接合とされていたあと施工アンカーの適用範囲から、耐震補強の限定がなくなりました。そのため、今後はより広く多様な場面での活用が見込まれることになりました。同時に、あと施工アンカーの品質確保や材料の強度、また構造設計の方法などの妥当性を第三者が評価するという制度も構築されました。このことは、高度な技術力を有する方々の技術を、責任を持って社会に適応し、世の中の期待に応えていくという制度の実現を意味しています。我が国が誇る高い技術を社会が大いに享受でき、次世代に伝承され、更なる社会の発展に繋がっていくことに期待をしています。こういった状況は、貴協会と関係する方々が将来を見据えて議論を重ね、密接に連携し、社会実装に向けた取り組みを精力的に行ってきた証でもあります。これからも貴協会をはじめ、関係する産学官の皆様との連携を通して、あと施工アンカーに期待される将来像を共に目指したいと思います。結びに、この技術講演会の成功と、貴協会が益々発展され国民生活の安定に貢献されますこと、重ねて皆様方のご多幸を祈念いたしまして、私からの挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。72| 安心・安全を30年~30周年記念誌~72| 安心・安全を30年~30周年記念誌~国立研究開発法人建築研究所国立研究開発法人建築研究所代表理事  福 山   洋福 山   洋代表理事  技術講演会来賓挨拶技術講演会来賓挨拶

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