30周年記念誌(30th ANNIVERSARY)
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トに助けられている」ということです。何が言いたいかというと、相手と自分との関係性やバランスをよく考えることが大事なのです。これからアンカーの用途が多様化して開発が一段と進んでいくときに、やはりそこのところは熟慮してもらいたいというふうに思います。安永 なるほど。ところで、今日はぜひお聞きしたいことがありまして、あと施工アンカーの考え方というのは、土木も建築も同じように考えて差し支えないでしょうか。岡田 同じです。基本的なところでは違いはありません。安永 協会はこのたび、名称の「建築」を「建設」に変える形で改称いたしました。土木の現場でも多く使っていただいているのが実情ですし、これを機に、今後は土木の先生方にもいろいろとご協力をいただきながら、さまざまな議論や開発を進めていけたらというふうに考えているところです。岡田 要は力学の問題であって、物理学に建築も土木もないですからね。当初さまざまな制約の中で名称に「建築」を入れたという話は私も多少は聞いておりますが、当時から、まとめても良いのではないか、という議論もあったようですよ。ちなみに資格制度の方には建築という言葉は使ってないですよね。安永 資格には最初から使っていないです。「第一種あと施工アンカー施工士」というような形で。岡田 初期の頃から、土木工事の発注においても「JCAAの資格保持者を使うように」というようなことは言われていたと思います。そういえば、資格試験をつくった当初、コンクリートに穴をあける試験なんてどうやってやるんだ、という意見もありました。専門家の方々につくってもらったペーパーテストが、とてつもなく難しくてね(笑)。私は、コンクリートに穴をあける試験、これが一番大切ではないかということを、かなり頑張って主張しまして。実施するのは大変でしょうけれども、これは頑張って良かったと今でも思っています。安永 ええ、大変です(笑)。もちろん、理論的なことを理解してもらうということも非常に大切で、技術管理士とか、知識に重きをおく資格も設けています。岡田 そうですね、さまざまな資格をつくっているのは良いことだと思います。安永 ちょっと増えすぎたかもしれませんが、技術を求める資格、知識を求める資格、あるいはアンカーの種類も工法も多様化しているので、それぞれに対して資格を、と考えていくと、どうしても多くなりますね。最近では社会的ニーズを踏まえて、点検士や診断士などの資格を整えようとしています。安永 先生には長きにわたってご協力いただいてきましたけれども、これからのJCAAやアンカー業界に期待することなど、未来に向けた話も聞かせてください。岡田 業界団体、つまり同じ職種の企業同士が集まるというのは、商売としては実はなかなかやりにくい面もあるだろうと思うんです。そういう中で非常にうまくやってこられている、というのが、私のJCAAに対する率直な印象です。この感じは、ぜひ今後も続けていっていただきたいと願うところです。 それから、建築でも土木でも、難しいのはジョイントの部分、特に異なる素材同士の接するところがもっとも難しいわけですが、アンカーというのはまさにその部分を担っているわけですね。なにか全体をつくる方が偉くて、ジョイント部分はマイナーな要素だと考える向きもあるけれども、実は非常に重要だということ。そこに誇りを持ってやっていただきたいと強く思います。そして、繰り返しになりますが、そのときに忘れないでほしいのが、コンクリートとアンカーのバランスですね。写真3 30周年記念式典でご挨拶される岡田先生安心・安全を30年~30周年記念誌~ |安心・安全を30年~30周年記念誌~ |7979次の30年、JCAAに期待すること

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