30周年記念誌(30th ANNIVERSARY)
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本日は、日本建設あと施工アンカー協会の30周年の記念式典にお招きいただきまして誠にありがとうございます。いま目の前にいらっしゃる岡田先生、松崎先生、田中先生とは約30年前からいろいろお世話になっております。私がこの協会に関わるきっかけは、田中先生に共同研究にお誘いいただいてからです。それから、松崎先生とは先生が団長でヨーロッパの視察などもご一緒しました。私もあと施工アンカーをその頃から研究をしていましたので、お誘いいただいて、様々な場所を見ることができ感銘を受けました。先ほど、塩見様からお話があったように、土木学会であと施工アンカーの指針を作ろうと2010年頃にお話をいただき、同学会の中で委員会を作り、指針作成を始めました。2012年に笹子トンネルの事故があり、それまでは吊り下げアンカーも含めて条件を満たせばできるのではないか、と検討していたのですが、あの事故があって不十分なところがあるということで、最初の指針はかなり安全に行き過ぎたかなというようなことがありました。それから5、6年経った2019年だったと思います。コロナの騒ぎの前に改訂しましょうということで、また委託をいただき、同学会で始めました。2022年に改訂版ができ、吊り下げるものが全部OKとは言わないですが、拡底型のアンカーをうまく使えばできるのではないかということで、そういった活用の道筋はとりあえず開けたかと思います。土木学会や土木分野も、実はあと施工アンカーはいろんな所で使われており、例えば鉄道だとか道路だとか高速道路関係が様々なアンカーを使っています。それを学会として統一的な指針を作ろうということで協会から委託を受け、まとめたところでございます。私、個人的には30年以上前に、トンネルの特殊な施工を行うということで、通常は先付けという上から鉄道の電気を供給する線を吊るすためのアンカーを打っていますが、それができないということで、あと施工でやろうという実験的な検討をJRの方に依頼され、行った記憶があります。埋め込みの深さが30cmで、ひびが入っても落ちないようにというかたちで検討したこともありました。また、原子力施設関係で、大体先付けですが、あと施工でやった方が様々な機能を付与できる、対応できるという研究も行ったことがあります。その際も、削孔の先端部を拡げる拡底式に、なおかつ安全性を高めるために樹脂注入を行いました。その研究成果は、委託された建設会社がアメリカで発表したいということで、アメリカの機械学会で発表したこともございました。JR東日本の大規模改築がもう少しで始まりますし、高速道路関係もリニューアル工事が始まっています。既設の構造物と一体化をどうするかなど、そういった問題にはあと施工アンカー以外に手がないので、要求性能も変わるかもしれませんが、無事指針もでき、これからも発展していけるのではないかと思います。今後益々の発展を祈念しながら、お祝いの言葉にさせていただきます。おめでとうございます。18| 安心・安全を30年~30周年記念誌~18| 安心・安全を30年~30周年記念誌~長岡技術科学大学名誉教授  丸 山 久 一祝辞

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