30周年記念誌(30th ANNIVERSARY)
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30周年という短いようでもあり長い時間を、皆様があと施工アンカーに力を入れてきました。多くの苦労や喜びがあったことと思います。今後、やった方がいい、なった方がいい、というものも蓄積されているのが現状だと思っております。多くのものには、基準があります。やはり決めごとということは、大変重要な話でして、皆さん生まれも心も違いますので、それぞれの考えが違っておるんだろうなと考えざるをえません。あと施工アンカーという領域でも、皆さん違ったものの考え方があるのかなというふうに思っております。その中で、基準・法律などが世の中に多くありますが、これはあくまでも「決めごと」ですから、約束事でございます。当然、時が経つ、あるいは人間が変わると、そういうものを吸収しながら、「基準」は変わっていきます。あと施工アンカーは、日本だけでなく全世界で使われていますが、各国で事情が違いますので、国ごとに約束ごとも異なります。もう少し、基本に帰れば、力学的な部分は、世界、時代もそうですが変わるものでもないと私は思います。そこで一番重要なのは何かというと、話し合いをして、物事を決めていかなければいけない。日本だけで決めて、日本だけでやりますが「何か不都合ありますか」という話も、論理的には約束の範囲を狭めることになります。最近、諸外国の方々との話し合いはうまくいっているんだろうかと心配しております。我々もかなり最前線を歩いていると思っていますが、皆さんそういう感情をお持ちなのか、持っていないのか、一度ご意見を聞いてみないといけないと思っています。さて、話は変わりますが、先日トルコで地震がありました。その際、私にとって非常に特記すべきことが、一つだけありました。免震です。トルコのディオール建築というのが、私に入ってきた情報によれば、非常に免震的なものに使っている。もちろん、トルコの技術が進んでいるといえばそこまでですが、トルコの方々も一生懸命頑張って、特に病院建築に免震を取り入れました。それが大変うまくいきました。というのも、病院の被害率が非常に低く、あまり地震で被害を受けなかったそうなのです。そこで、私はこの8月にトルコを訪問しようと計画をしていまして、その時にあと施工アンカーはどのぐらい効果があったものなのかどうかについても見てきたいと考えております。それが何になるの?と思われるかもしれませんが、我々の能力で見たものと違う意見の方もいらっしゃるでしょうから、世界的な意見をこれからは集めていきたいと思います。これまでもやっておりましたが、日本のあと施工アンカーの技術も上がってきましたということもあり、諸外国と疎遠になりつつあることは決していいことではないと私は思っています。ぜひ30年ということでそのあたりも話題に取り上げていただければと思っております。様々なお話をいたしましたが、我々に課せられていることは、おそらく、今まで30年やってきたことをまた30年くり返しするわけではありません。基準が時代とともに、変遷していくというのはやむを得ない話ですが、それを諸外国の方々と一緒になり、日本の将来を考えてうまくやっていかなければならないと思っている次第です。ありがとうございました。安心・安全を30年~30周年記念誌~ |安心・安全を30年~30周年記念誌~ |2121東北工業大学名誉教授   田 中 礼 治感謝状贈呈/受贈者挨拶

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