30周年記念誌(30th ANNIVERSARY)
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安永 そうですね、肝に銘じたいと思います。そしてもう一つ、我々としては、次世代をどう育てていくか、どうしたら若い方に入っていただけるか、ということが大きな課題だなと。岡田 やはり今、現場でものづくりをするよりはオフィスでパソコンに向かう仕事の方が好まれるのかもしれないけれども、もっとものづくりに興味をもってもらうということが、建設業に限らず、社会全体で必要なことだと思っています。安永 私自身、四国の現場で学校の耐震補強に携わっていた頃のことを思い出してみますと、感謝されるということが嬉しかったですし、仕事のやりがいにつながっていましたね。仕事の魅力というのは、一度でも取り組んでもらえたらもっと知ってもらえるのではないかなと思うのですけれども。岡田 耐震の仕事というのは、地震が来るまでありがたさが実感できないわけです。けれども、現場では感謝される。それはやはり、工事を見ると、こういうことが安心を担保してくれているのだなあと実感してもらえるからなのでしょうね。 昔大学で教えていたときに、ある学生に「先生は何が面白くて耐震の研究をしているのですか」と聞かれまして、たしかに、面白いというわけでもないし(笑)なぜだろうと自問したことがありました。そして、その学生に少しオーバーに「一日さぼると、世界のどこかで地震で死ぬ人が一人増えるんじゃないか、という恐怖感があるんだ」と返したんですね。そうしたところ、その学生は私の研究室にやってきまして、いまも研究者として活躍しています。「目に見えなくても役に立っている、いつか役に立つかもしれない」そういう実感を若い人たちにしっかりと伝えていく必要がありますね。安永 そうですね、いろいろと工夫しながら今後の展開を考えていきたいと思います。今日は楽しいお話をたくさん聞かせていただきました。ありがとうございました。岡田 こちらこそありがとうございました。JCAAのさらなる発展に期待しています。 ―岡田先生、安永会長、お忙しいところありがとうございました。(2023年7月4日 千葉県柏市)執筆/佐瀬優子(アトリエ言景)8080| 安心・安全を30年~30周年記念誌~| 安心・安全を30年~30周年記念誌~

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