30周年記念誌(30th ANNIVERSARY)
90/130

「あと施工アンカー」は、建築物の接合や設備、機器の取り付け等に多種多様な形で使用されているが、いうまでもなくその品質は、力学的性能や物理的性質、化学的性質に添った適格な仕様に基づいて管理を行い製造され、かつ施工されることによってはじめて確保されるものである。あと施工アンカーの品質・性能の確保体制は、当協会の設立(1993年)直後に建設省(現:国土交通省)のご指導のもと、関係学会・機関等からの協力を得て、一定水準の製品を市場へ供給するために検討が行われた。その結果、「あと施工アンカー審議委員会」~安全性確保体制の整備と、その下部に設置されている「あと施工アンカー認証委員会」~認証制度の実施要綱や評価認証審査基準等の審議作成を基軸とするあと施工アンカー製品認証の枠組みが制度化されることになり、2001年2月1日に第1次審査の受付を開始、2003年(平成15年)8月、最初の認証を行うことで製品認証制度はスタートした。今年度をもって、当協会の発足から30周年を迎えると同時に製品認証制度は、最初の認証から20年が経過することになる。制度開始後の2011年には、申請者からの申請の種類に応じてきめ細かく対応できるよう、認証委員会の傘下に、「あと施工アンカー製品認証委員会」および「あと施工アンカー工法・製品認証委員会」を設置し、各々の委員会にて認証審査基準に基づく審査を行うこととした。 また、直近では、2022年3月、建築基準法に基づく平成13年国土交通省告示1024号の一部が改正され、改正後の同告示に基づき、国土交通大臣が強度を指定したあと施工アンカーに限り、新築、増改築などの際における補強以外の用途にあと施工アンカーの使用が可能になったことを踏まえ、あと施工アンカー単体の性能評定を行う委員会として「あと施工アンカー告示対応認証委員会」を設置した。これらの委員会はいずれも、関係学会・関係機関・団体からの協力と参画を得た委員によっていわゆる『第三者機構的委員会』として編成され、かつ審議・運営されており、独立性・中立性が確保された厳正な品質性能審査体制を維持している。当協会の製品認証事業は、そのような審査体制を通じて認証された、あと施工アンカー製品の性能・品質を証明するとともに、製品認証制度の普及・啓蒙に努めることによって、認証製品が適正に供給され、もってわが国社会の良質な建築・設備に貢献することを当初からの目的としており、現在においても変わりはない。図1に、現在に至る20年間の認証製品(品番累積数)の推移を示す。製品認証制度の初年度である2003年度(平成15年)は、金属系アンカー17品種207品番、接着系アンカー7品種94品番、合計では24品種、301品番の認証が行われた。2023年3月末の時点での認証累計件数は、金属系アンカー150品種919品番、接着系アンカー60品種575品番、合計では、210品種、1494品番となっている。その推移をみると、初年度の2003年から2018年度までは、金属系、接着系アンカーそれぞれに増減はあるものの、概ね順調に増加してきたが、2019年度以降の新規申請は、僅かな増加にとどまっている。当協会の生産動態調査に示すとおり、近年における金属拡張アンカーおよび接着系アンカーの生産量減少や2019年度以降のコロナ禍という状況も、その要因として影響したかも知れないが、新規申請が88| 安心・安全を30年~30周年記念誌~ 1 はじめに ~製品認証の目的と品質性能保証体制 2 製品認証の推移 製品認証の推移について製品認証の推移について2

元のページ  ../index.html#90

このブックを見る