設計・施工指針
安全なアンカー設計・施工の実現をめざしています。
はじめに
日本建築あと施工アンカー協会(以下,当協会)は,あと施工アンカーの品質及び設計・施工に関する調査研究及び技術開発を行い,その成果の普及を図ることにより,安全で良質な「あと施工アンカー」の供給に貢献し、もって国民生活の向上に寄与することを目的としています。当協会では,安全施工方法に関するあと施工アンカーの施工指針の世上一般への公開,普及を目指して,2004年に「あと施工アンカー施工指針(案)」を発刊し,2016年に「接着系」と「金属系」の2つの指針に分割し,「あと施工アンカー施工指針(案)【金属系】」,「あと施工アンカー施工指針(案)【接着系/カプセル方式】」を発刊しました。本施工指針は,公共建築改修工事標準仕様書(国土交通省大臣官房営繕部)をはじめとした地方公共団体の改修工事標準仕様書,建築設備耐震設計・施工指針(建築センター)およびその他の関係団体における施工指針等で引用されており,一般に広く使用されています。 今回発刊する「あと施工アンカー施工指針(案)【接着系/注入方式/カートリッジ型 -ミキシングノズル式(有機系)-】」は,2016年版施工指針(案)【接着系/カプセル方式】で対象外とした接着系アンカーの内,注入方式,カートリッジ型,ミキシングノズル式(有機系)を対象としています。注入方式の接着系アンカーは,低騒音・低振動での施工環境下での耐震補強工事への利用,大型設備機器の取付け等による利用等が増えており,2018年度の生産金額においては接着系アンカー市場の4割強の市場金額となっており,カプセル方式に近い市場規模となっています。 接着系あと施工アンカーの施工は,本協会により認定された有資格者が,本協会より製品認証された接着系あと施工アンカーを原則として使用することとなっています。しかし,現状では,認証された製品は無く,注入方式の資格制度も実用に向けて作業を進めている段階です。したがって,製品認証および資格制度の確立までは,製造メーカーの品質・性能・仕様に依らざるをえません。さらに,注入方式(カートリッジ型)の施工は,カプセル方式に比べ,樹脂注入からアンカー筋の埋込みまでの作業が難しくなることと,メーカーにより仕様(施工要領等)が異なるので,本施工指針に基づいて,本協会により認定された有資格者(施工者)が行うものとし,かつカートリッジ製造メーカーより施工指導および教育を受けたものが行うこととなっています。 本施工指針は,施工責任者や全体工事請負管理者(または監理者)を主として対象としていますが,あと施工アンカーの施工に携わる方々の有益な指針となれば幸いです。
2019年4月
一般社団法人日本建築あと施工アンカー協会
技術委員会委員長
中野克彦